メンズヘアセットの鍵は「ブロー」にあり。印象を自在に操る、プロの基本テクニック
「ドライヤーは、ただ髪を乾かすためのもの」
「男のヘアセットは、ワックスをつけるだけで完成」
もし、あなたがそう考えているとしたら。あなたは、ご自身のヘアスタイルが持つ可能性の、まだ半分も引き出せていないかもしれません。
実は、多くの男性が見落としがちな、ドライヤーを使った「ブロー」という工程こそが、ヘアスタイル全体の印象を決定づけ、あなたの魅力を最大限に引き出すための、最強の武器なのです。
この記事では、メンズヘアセットの常識を覆す、「ブロー」の重要性とその基本的なテクニックについて、プロの視点から徹底的に解説します。
なぜ、メンズヘアセットこそ「ブロー」が重要なのか
女性のロングヘアとは異なり、男性のヘアスタイルは、その多くが短髪です。だからこそ、髪全体の「シルエット」と、毛束の動きである「束感」が、そのスタイルの良し悪しを大きく左右します。
そして、その最も重要である「シルエット」を創り出すのが、まさに「ブロー」の役割なのです。
サイドの膨らみを抑え、トップに高さを出し、前髪を自然に流す。この、髪型の骨格となる立体的なフォルムは、ワックスだけでは決して創り出すことはできません。ブローという土台があって初めて、ヘアセットは完璧なものになるのです。
これだけ押さえればOK!メンズブローの「基本原則」
難しく考える必要はありません。メンズヘアのブローは、いくつかの基本的な原則を押さえるだけで、劇的に変わります。あなたの明日からの朝が変わる、4つの原則をご紹介します。
・原則1:トップは「根元」を立ち上げて、ボリュームを出す
ボリュームがほしい頭頂部は、指で髪の根元を軽くつまみ、少し持ち上げるようにしながら、下からドライヤーの温風を当てます。髪が生えている方向とは、少し逆らうように乾かすのがポイントです。
・原則2:サイドと襟足は「上から」風を当てて、膨らみを抑える
日本人の骨格で、最も膨らみやすいのがサイド(ハチ周り)です。この部分は、上から下に、毛の流れに沿ってドライヤーの風を当て、手のひらで軽く抑えつけながら乾かします。これだけで、驚くほどシルエットが引き締まります。
・原則3:前髪は「上げたい方向と逆」から乾かして、立ち上がりを作る
前髪を上げたい(アップバングにしたい)場合は、まず、上げたい方向とは逆の方向に髪を全て倒して乾かし、根元を立ち上げます。その後、本来上げたい方向に向かって、指で持ち上げながら温風と冷風を当てることで、自然で力強い立ち上がりが生まれます。
・原則4:最後に「冷風」で、形を記憶させる
全体の形が決まったら、必ずドライヤーを冷風に切り替え、髪全体に当ててクールダウンさせます。髪は熱が冷める瞬間に形が固定されます。この一手間が、スタイルの持続性を決定づけます。
あなたの髪質と髪型に合わせた、プロの「応用技術」
この基本原則は、どんな髪型にも応用できます。しかし、私たちプロの理容師は、そこからさらに一歩踏み込みます。
お客様一人ひとりの髪質(硬い、柔らかい、クセがある)、つむじの位置、生え癖、そして、その日に創り上げたヘアスタイルのデザイン。その全てを考慮し、ドライヤーの角度、風の強さ、指やブラシの使い方を、ミリ単位で調整していきます。
例えば、髪が柔らかく、ボリュームが出にくい方には、根元を立ち上げる工程をより入念に。逆に、髪が硬く、広がりやすい方には、抑える工程をより重点的に。それは、あなたのためだけに存在する、完全オーダーメイドのブロー技術なのです。
私たちのカットは「ブローのしやすさ」までをデザインします
さらに言えば、私たちの仕事は、お客様がサロンの椅子に座られた瞬間から、あなたが翌朝、ご自宅でブローをするところまでを、全て見据えています。
「このお客様の髪質なら、ここの毛量を少し減らしておけば、ブローで簡単にボリュームを抑えられるだろう」
「この部分に、少しだけレイヤーを入れておけば、自然な束感が生まれやすくなるはずだ」
カットの段階で、すでに、あなたの毎朝のブローが、より簡単に、より楽しくなるための「仕掛け」を、私たちはデザインしているのです。
最高の道具と、その「使い方」を手に入れる場所
素晴らしいヘアスタイルは、素晴らしいカット(最高の道具)と、それを活かすための正しいブロー技術(最高の使い方)、その両方が揃って初めて、完成します。
私たちは、お客様にその両方を提供することこそが、プロの仕事であると考えています。
もう、毎朝のヘアセットで、悩む必要はありません。
ぜひ一度、プロが創る、計算され尽くしたヘアスタイルと、その「取扱説明書」を手に入れに来てください。