スポーツ刈りの印象は「後ろ姿」で決まる。プロがこだわる、後頭部のデザイン学
毎朝、鏡の前で、正面とサイドのヘアスタイルをチェックする。
それは、多くの男性が習慣的に行っていることでしょう。しかし、その時、ご自身の「後ろ姿」を、どれだけ意識しているでしょうか。
面白いことに、あなたが一日の中で、他人から最も見られているのは、実は、正面の顔よりも、横顔、そして、後ろ姿なのです。
そして、スポーツ刈りのような短髪スタイルにおいて、その人の清潔感や、お洒落へのこだわりが、最も如実に現れるのが、この「後ろ姿」、特に、後頭部のデザインに他なりません。
この記事では、プロの理容師が、お客様の後ろ姿を、いかにしてデザインしているか、その奥深い世界についてお話しします。
なぜ、プロは「後ろ姿」に、これほどまでこだわるのか
私たちプロの理容師が、お客様の正面の髪を切っている時でさえ、その意識の半分は、常に、横と後ろから見た時の、頭全体の「シルエット」に注がれています。
なぜなら、後頭部のフォルムこそが、ヘアスタイル全体の立体感を決定づけ、そして、その人の骨格を、最も美しく見せるための、鍵となるパーツだからです。
特に、日本人に多いと言われる、後頭部が平坦な骨格、いわゆる「絶壁」を、いかにして、自然で、丸みのある、美しいシルエットに見せるか。そこに、理容師の本当の技術力と、経験値が問われるのです。
あなたはどれを選ぶ?後頭部デザイン、3つの基本パターン
後頭部、そして襟足の仕上げ方には、いくつかの基本的なデザインパターンがあります。あなたが、なりたい印象に合わせて、選んでみましょう。
・パターン1:「刈り上げ」スタイル
襟足部分を、ある程度、直線的、あるいはU字型に、シャープなラインで刈り上げるスタイルです。非常に男性的で、潔い印象を与えます。首を、長く、そしてたくましく見せる効果があります。
・パターン2:「グラデーション」スタイル
襟足の生え際は、産毛のような薄さにぼかし、そこから上に向かって、徐々に、そして滑らかに長さを繋いでいくスタイルです。いわゆる「フェード」も、この一種です。非常に自然で、柔らかく、そして、頭の形を最も美しく見せる、現代的な仕上げ方です。
・パターン3:「ナチュラル」スタイル
バリカンをあまり使わず、ハサミ主体で、襟足の生え癖を活かしながら、自然に長短をつけるスタイルです。柔らかく、優しい印象を与えたい方に、おすすめです。
日本人の骨格の悩み「絶壁」を、デザインで解消する
多くの方が悩む「絶壁」という骨格。
これを、ヘアデザインの力で、あたかも、欧米人のような、丸みのある美しい後頭部に見せることが可能です。
その秘密は、「ウェイトポイント」、つまり、後頭部で、最も髪の重さと丸みを出す部分を、どこに設定するか、という「設計」にあります。
私たちは、お客様の骨格を正確に見極め、後頭部の一番高く見せたい部分に、意図的に長さを残します。そして、その下の襟足部分を、潔く短く刈り上げる。この、計算され尽くした長短のコントラストが、平坦だった後頭部に、劇的な立体感と、美しい丸みという名の「錯覚」を生み出すのです。
後ろ姿に、自信を。プロの理容師に、見えない部分を委ねるということ
あなた自身では、決して見ることができない、あなたの後ろ姿。
その、最も無防備で、そして、最も正直なあなた自身の姿を、誰に、委ねますか。
理容室の椅子に座る、ということは、あなたの「見えない部分」の全てを、その理容師に委ねる、という、究極の信頼行為です。
私たちは、その信頼に、最高の技術で応える責任があります。
施術中、私たちは、何度も椅子を回し、少し離れた場所から、あなたの360度のシルエットを、ミリ単位で確認し、調整します。
あなたが見ていない時間も、私たちはあなたを見ている
私たちの仕事は、お客様が鏡を見ている、その瞬間のためだけにあるのではありません。
お客様が、私たちの店を出て、街を歩いている時。オフィスで、デスクに向かっている時。その後ろ姿が、誰から見ても、清潔で、洗練され、そして、自信に満ち溢れていること。
そこまでをデザインすることこそが、私たちの本当の仕事だと考えています。
もう、ショーウィンドウに映る自分の後ろ姿に、不安になる必要はありません。
ぜひ一度、あなたの「見えない部分」を、私たちプロフェッショナルに、お任せください。