スポーツ刈り、社会人は「何ミリ」が正解?プロが教える、失敗しないオーダー術
さっぱりとした短髪、スポーツ刈りにしたい。そう決意した社会人の多くが、次に直面する、非常に専門的で、そして重要な問い。
「バリカン、何ミリでお願いすればいいんだろう?」
この「何ミリ」という僅かな差が、子供っぽい坊主頭と、品格のある大人の短髪スタイルとを分ける、決定的な境界線となります。
この記事では、プロの理容師の視点から、社会人にふさわしいスポーツ刈りの「ミリ数」の目安と、それを超えた、本当に失敗しないためのオーダー術について、詳しく解説していきます。
「何ミリ」で印象はこう変わる。社会人のための長さ別ガイド
まず、多くの方が一番知りたいであろう、バリカンの長さ(ミリ数)による印象の違いを、具体的な目安としてご紹介します。ご自身の職場の雰囲気や、与えたい印象と照らし合わせながらご覧ください。
・15mmから12mm(ナチュラルで、誠実な印象)
地肌の透け感が少なく、自然な黒さが残る長さです。長めのスポーツ刈りとして、初めて短髪に挑戦する方や、比較的堅い職種の方でも安心して取り入れられます。誠実で、落ち着いた印象を与えます。
・9mmから6mm(爽やかで、活動的な印象)
社会人のスポーツ刈りとして、最も標準的で人気の高い長さです。地肌がほんのり見える程度で、爽やかさと清潔感が際立ちます。活動的で、仕事のできるスマートな印象を演出できます。
・5mmから3mm(シャープで、スタイリッシュな印象)
地肌がはっきりと見え、色の濃淡がくっきりと現れる長さです。いわゆる「フェードスタイル」の刈り上げ部分によく使われます。シャープでお洒落な印象が強く、クリエイティブな職種の方や、ファッションにこだわりたい方におすすめです。
・3mm未満(個性的で、モードな印象)
かなり地肌に近い、いわゆるスキンフェードに近い領域です。非常に個性的で、強いこだわりを感じさせるスタイル。職場の規定などをクリアできるのであれば、挑戦する価値のある、ファッショナブルなスタイルです。
しかし、本質は「ミリ数」だけではない。最も重要なこと
さて、ここまでミリ数ごとのガイドをご紹介しましたが、ここからがプロとして、最もお伝えしたい本質的な部分です。
実は、本当に洗練された大人のスポーツ刈りは、決して「全体を、均一に〇ミリ」では作りません。
頭の形は、一人ひとり、驚くほど複雑な凹凸を持っています。ハチが張っている、後頭部が絶壁になっているなど、その個性に合わせ、複数のミリ数を巧みに使い分け、部分ごとに長さを変えて繋いでいくことで、初めて頭の形が最も美しく見える、完璧なシルエットが生まれるのです。
プロの理容師は「ミリ数」を、どうデザインに活かすのか
私たちプロの理容師は、お客様から「〇ミリで」というオーダーを受けたとしても、それを単なる作業指示として受け取ることはありません。その数字の裏にある、「お客様が本当に望んでいるイメージ」を深く理解しようと努めます。
例えば、カウンセリングでお客様の職業やライフスタイルを伺い、頭の骨格を正確に触診します。その上で、「サイドの一番張っている部分は、すっきり見せるために3ミリで刈り上げ、そこから後頭部の丸みを綺麗に見せるために、6ミリ、9ミリへと滑らかに繋いでいきましょう」といった、あなたのためだけの「ミリ数の設計図」を、頭の中で組み立てているのです。
お客様の感覚的な「イメージ」を、プロの知識と技術で、具体的な「ミリ数」という設計言語に翻訳する。それが、私たちの仕事です。
失敗しないオーダーのために、あなたが伝えるべきこと
では、理容室で失敗しないためには、あなたは理容師に何を伝えれば良いのでしょうか。「何ミリ」という数字以上に、実はもっと大切なことがあります。
・理想の「写真」を見せる
言葉で説明するよりも、理想とするヘアスタイルの写真を見せるのが、最も確実で、イメージの共有がしやすい方法です。
・「どう見られたいか」という印象を伝える
「清潔感が第一です」「少しお洒落に見られたい」「威圧感が出ないようにしたい」など、あなたが周りから「どう見られたいか」という、抽象的なイメージを伝えてください。
・「普段のセット」について伝える
「普段は、ほとんどセットしません」「ワックスを軽くつける程度です」といった、ご自身のライフスタイルを伝えることも、非常に重要です。再現性の高いスタイルを提案するための、大切な情報になります。
「何ミリ」の先にある、あなただけの答えを。
「社会人のスポーツ刈りは、何ミリが正解か」。
その問いに対する、たった一つの絶対的な答えはありません。
なぜなら、正解は、あなた自身の頭の形、髪質、職業、そして「どう在りたいか」という想いの中にしか、存在しないからです。
あなただけの「最高の答え」を、私たちと一緒に探してみませんか。
ミリ数の知識は、必要ありません。あなたの想いだけを持って、どうぞお気軽にご相談ください。