スポーツ刈りと五厘刈りは別物?潔さが魅力の最短スタイルを解説
「気合を入れるために、五厘(ごりん)にしようと思う」
「野球部だから、スポーツ刈りを五厘の短さで」
短いヘアスタイルを語る上で、しばしば登場する「五厘刈り」という言葉。スポーツ刈りと混同されることも多いですが、実はこの二つ、似て非なる、全くの別物だということをご存知でしょうか。
今回は、日本の短髪文化の基礎とも言える「五厘刈り」と「スポーツ刈り」の明確な違いと、それぞれの特徴、そしてオーダー方法について、プロの視点から解説します。
まずは「五厘刈り」を正しく知る
「五厘刈り」とは、髪型(スタイル)の名前ではなく、髪の「長さ」を示す伝統的な理容用語です。
- 全体を均一に刈る、坊主スタイル
五厘刈りの定義は、バリカンを使って、頭全体を均一の長さに刈り揃える、いわゆる「坊主頭」のことです。
- 長さは約1.5mm
古くから使われる長さの単位「厘(りん)」が由来で、一厘が約0.3mmとされるため、五厘刈りは一般的に約1.5mmの長さを指します。
- 見た目の特徴
地肌がはっきりと透けて見える、ほぼスキンヘッドに近い、非常に潔い短髪です。
「スポーツ刈り」と「五厘刈り」の根本的な違い
結論から言うと、この二つは全く異なるスタイルです。「五厘」が髪の長さを指す言葉であるのに対し、「スポーツ刈り」は長さに差をつけて形を作る、ヘアスタイルの名前だからです。
- 概念
五厘刈り :全体を均一に刈る「坊主」という状態。
スポーツ刈り:長短差で形を作る「スタイル」の名前。
- 長さ
五厘刈り :約1.5mm。
スポーツ刈り:トップは長め、サイドは短め(例:トップ3cm、サイド6mmなど)。
- シルエット
五厘刈り :頭の形がそのまま出る「丸い」シルエット。
スポーツ刈り:角を残した「四角い」シルエット。
つまり、「五厘刈りのスポーツ刈り」という言葉は、厳密には存在しない、ということになります。
なぜ「スポーツ刈りを五厘で」という誤解が生まれるのか
この誤解が生まれる背景には、特に学生の部活動などが関係しています。
例えば、野球部などで「全員、五厘な!」という指示が出た際に、その学生が理容室で「スポーツ刈りにしてください」とオーダーしてしまうケースです。この場合、経験豊富な理容師は「五厘刈りのことで良いんだよね?」と確認し、意図を汲んでくれますが、本来の意味は違う、ということを知っておくと良いでしょう。
「五厘刈り」に挑戦する際のポイントと注意点
五厘刈りは非常に潔く、魅力的なスタイルですが、挑戦する際にはいくつか知っておくべき点があります。
- 頭の形がダイレクトに出る
髪による補正が一切効かないため、ご自身の頭の形や骨格がそのままシルエットになります。
- 日焼け対策が必須になる
頭皮が直接紫外線にさらされるため、夏場は帽子や頭皮用の日焼け止めが必須となります。
- 清潔感が際立つ反面、少しでも伸びると目立つ
数日経つだけで、短い毛が伸びてきたのがはっきりと分かります。綺麗な状態をキープするには、こまめなメンテナンスが必要です。
サロンでのオーダー方法
サロンでオーダーする際は、自分のなりたいイメージを正確に伝えることが大切です。
- 潔く五厘刈りにする場合
「全体を五厘(1.5mm)で、丸坊主にしてください」
- 少しでもデザイン性を加えたい場合
「五厘(1.5mm)を一番短い部分にした、フェードスタイルでお願いします」
(この場合、トップは3mmや6mmなど、少し長さを残すことになります)
- スポーツ刈りをできるだけ短くしたい場合
「スポーツ刈りで、サイドの一番短い部分を3ミリにしてください」
(「五厘」という言葉は使わず、具体的なミリ数を伝えるのが確実です)
どんな短さにも、プロのこだわりがある
たとえ全体を1.5mmで刈るだけの五厘刈りであっても、プロの仕事は違います。生え際のラインを美しく整え、襟足をカミソリで綺麗に剃り上げる。その一手間が、仕上がりの清潔感を大きく左右します。
それは、どんなに短いスタイルであっても、お客様に最高の状態でいてもらいたい、という理容師のこだわりです。
究極の短髪に挑戦したいと考えたなら、ぜひ一度、私たちプロにご相談ください。