スポーツ刈りを頼んだら坊主にされた…失敗の原因と、次こそ成功するオーダー術
「スポーツ刈りをお願いします、と伝えただけなのに、仕上がりはほとんど坊主頭だった…」
このような、ヘアサロンでの苦い経験は、残念ながら少なくありません。ご自身が思い描いていたイメージと、実際の仕上がりに大きなギャップが生まれてしまうと、がっかりしてしまいますよね。
なぜ、このような失敗が起きてしまうのでしょうか。
今回は、その根本的な原因を解き明かし、次こそ、あなたの理想通りのヘアスタイルを手に入れるための、失敗しないオーダー方法を、プロの視点から詳しく解説します。
なぜ「スポーツ刈り」が「坊主」になってしまうのか?
この失敗が起こる最大の原因は、お客様とスタイリストの間で、「スポーツ刈り」という言葉に対する「イメージのズレ」が生じていることにあります。
まず、二つのスタイルの明確な定義の違いを再確認しましょう。
- 坊主(ボウズ)
バリカンを使い、頭全体を「均一な短い長さ」に刈り揃えた、丸いシルエットのスタイル(状態)を指します。
- スポーツ刈り
トップの髪に「長さを残し」、サイドや襟足を「短く刈り上げる」ことで、長短の差をつけた、四角いシルエットのヘアスタイルです。
つまり、「トップに長さを残すかどうか」が、この二つを分ける決定的な違いなのです。
失敗の最大の原因は「イメージのズレ」
お客様が「スポーツ刈り」とオーダーする時、その頭の中では「トップに少し長さがあって、お洒落な束感が出せるような、現代的なショートヘア」をイメージしているかもしれません。
一方で、スタイリストによっては、「スポーツ刈り=学生や野球部員のような、とにかく短い髪型」と、昔ながらのイメージで捉えてしまうことがあります。
このイメージのズレが埋まらないままカットが進んでしまうと、「スポーツ刈りを頼んだはずが、坊主になってしまった」という悲劇が起こるのです。
次こそ理想の髪型を!失敗しないオーダーの3原則
この「イメージのズレ」を防ぎ、理想のヘアスタイルを手に入れるためには、オーダーの際に3つの原則を守ることが極めて重要です。
- 原則1:「坊主にはしたくない」と明確に伝える
最も効果的で、重要な一言です。オーダーの最初に「坊主にはしたくないのですが」と付け加えるだけで、スタイリストは「トップの長さをしっかり残す必要がある」と理解してくれます。これにより、最悪の事態は確実に回避できます。
- 原則2:「トップの長さ」を具体的に指定する
「トップは、指でつまめるくらいの長さを残してください」「ワックスで少し動きが出せるくらいに」というように、トップの長さに関する具体的な希望を伝えましょう。これにより、イメージのズレはさらに小さくなります。
- 原則3:写真を見せて「これです」と断言する
言葉での説明に自信がなければ、理想のヘアスタイルの写真を見せるのが、最も確実で間違いのない方法です。「この髪型にしたいです」と写真を見せれば、イメージのズレは100%なくなります。
「坊主にされてしまった」今、できること
もし、この記事を読む前に、すでに坊主頭になってしまった、という場合でも、できることはあります。
- 綺麗なラインで整え直す
信頼できる理容室などで、襟足やもみあげのラインをカミソリで綺麗に整えてもらうだけでも、全体の印象は引き締まり、ただの坊主ではない、手入れの行き届いたスタイルに見えます。
- 眉毛を整えて、全体の印象を引き締める
髪が短い分、眉毛の印象はより強くなります。眉毛をキリッと整えることで、顔全体の印象がシャープになります。
- 次回への「設計図」を考える
髪が伸びるのを待ちながら、次はどんなスタイルにしたいか、理想の髪型の写真をじっくりと探す、良い機会と捉えるのも一つの手です。
最高の理容室は、あなたの言葉を深く聴く場所
良い理容師、良いスタイリストとは、単にカット技術が高いだけではありません。お客様の言葉に深く耳を傾け、その曖昧なイメージを、具体的なヘアデザインへと正確に翻訳する「カウンセリング能力」に長けています。
私たちはお客様との対話を最も大切にし、決して一方的な解釈でカットを進めることはいたしません。
あなたの「なりたい」を、最高の形で実現すること。それが、私たちプロの仕事です。ぜひ一度、あなたの理想のイメージを、私たちに聞かせてください。