「スポーツ刈り」と「坊主」は別物。違いを知って理想の短髪を手に入れる
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「短くしたいから、スポーツ刈りの坊主で」
サロンで時々、このようなオーダーをいただくことがあります。実は、多くの方が混同されがちなのですが、私たちプロの世界では、「スポーツ刈り」と「坊主」は、全く異なるヘアスタイルとして明確に区別されています。
この違いを知ることが、ご自身の「なりたいイメージ」を正確に伝え、理想の短髪を手に入れるための、最も重要な第一歩です。
今回は、スポーツ刈りと坊主、それぞれの定義と特徴、そして明確な違いについて、分かりやすく解説していきます。
Contents
まずは「坊主(ボウズ)」の定義を知る
「坊主」とは、デザインされた「髪型」の名前というよりも、髪が非常に短い「状態」を指す言葉です。
- バリカンで全体を均一の長さに刈る
坊主の最大の特徴は、トップもサイドも区別なく、頭全体の髪をバリカンで均一の長さに刈り揃える点にあります。
- シルエットは頭の形に沿った「丸い」形
髪の長さに差がないため、仕上がりのシルエットは、その人の頭の形がそのまま現れる、自然な丸い形になります。
- 五厘刈りや五分刈りなどが含まれる
「五厘刈り(約1.5mm)」や「五分刈り(約9mm)」といった、伝統的な長さの呼び方は、この坊主スタイルの一種です。
次に「スポーツ刈り」の定義を知る
一方、「スポーツ刈り」は、均一な長さの坊主とは異なり、意図的に長短差をつけてデザインされた「ヘアスタイル」です。
- トップは長く、サイドは短い
坊主との決定的な違いは、頭頂部(トップ)の髪を、サイドや襟足よりも長く残す点です。
- シルエットは「四角い」形がベース
原型である「角刈り」のデザインを引き継いでおり、ハチの部分に少し角を残した、やや四角いシルエットが基本となります。
- バリカンとハサミを両方使う
短いサイドはバリカンで、長いトップはハサミで、というように、複数の道具を使い分けて、一つのスタイルを構築していきます。
【一目瞭然】スポーツ刈りと坊主の決定的な違い
両者の違いを、改めて一覧で比較してみましょう。
- 概念
坊主 :均一な長さの「状態」。
スポーツ刈り:長短差のある「髪型」。
- 長さの構成
坊主 :全体がほぼ同じ長さ。
スポーツ刈り:トップが長く、サイドが短い。
- シルエット
坊主 :頭の形に沿った「丸い」シルエット。
スポーツ刈り:角を残した「四角い」シルエット。
- 与える印象
坊主 :潔い、ストイック、個性的。
スポーツ刈り:爽やか、実直、スポーティー。
「坊主」と「スポーツ刈り」、どちらを選ぶべき?
ご自身の目的や、なりたいイメージに合わせて選ぶのがおすすめです。
- 手入れの楽さを極めたいなら
→ 坊主
スタイリングはもちろん、ドライヤーすらほぼ不要な、究極の楽さを求める方に最適です。
- 少しでもデザイン性や骨格補正を求めるなら
→ スポーツ刈り
トップに長さを残すことで、絶壁をカバーしたり、お洒落なスタイリングを楽しんだりと、デザインの幅が広がります。
- 部活動などで厳しい規定があるなら
→ 坊主(または規定内のスポーツ刈り)
「全員丸坊主」といった厳しいルールがある場合は坊主が適していますが、そうでなければ、校則の範囲でデザインできるスポーツ刈りも良い選択肢です。
サロンで失敗しないオーダー方法
サロンでオーダーする際は、どちらのスタイルにしたいのかを、明確に伝えることが大切です。
- 坊主を頼む場合
「全体を〇ミリの丸坊主でお願いします」
(具体的なミリ数を伝えるのが最も確実です)
- スポーツ刈りを頼む場合
「坊主ではなく、トップに長さを残したスポーツ刈りでお願いします」
(「坊主ではない」と一言加えるだけで、認識のズレが防げます)
正しい言葉で、理想の自分へ
言葉の意味を正しく理解することで、スタイリストとの意思疎通はよりスムーズになり、理想のヘアスタイルへと確実に近づくことができます。
たとえシンプルな坊主スタイルであっても、襟足のラインを綺麗に整えるなど、プロの仕事は仕上がりを格段に向上させます。
私たち理容師は、お客様の言葉に耳を傾け、そのイメージを最高の形で実現するプロフェッショナルです。どんな些細な疑問でも、どうぞお気軽にご相談ください。
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