バリカンの「アタッチメント」、正しく選んでいますか?プロが教える、スポーツ刈りの設計図
ご自宅で、手軽にヘアスタイルを整えることができる、電動バリカン。
その使い勝手の良さから、セルフカットに挑戦する男性も増えています。そして、その仕上がりを大きく左右するのが、長さを調整するための「アタッチメント」の存在です。
「どのミリ数のアタッチメントを選べば、社会人として適切な、格好いいスポーツ刈りになるのだろう?」
その、非常に的確な疑問に、私たちプロの理容師がお答えします。この記事では、アタッチメントの選び方と、それだけでは終わらない、プロの仕事の本質について解説します。
アタッチメント(ミリ数)で決まる、仕上がりの印象
まず、基本となる、アタッチメントのミリ数ごとの、仕上がりの印象の違いについて、見ていきましょう。
・9mm以上のアタッチメント(自然で、安心感のある長さ)
地肌の透け感が少なく、髪の黒さがしっかりと残るため、非常に自然な仕上がりになります。初めてバリカンを使う方や、あまり短くしすぎたくない方におすすめの、失敗しにくい長さです。
・6mmのアタッチメント(爽やかさの、王道)
社会人の短髪スタイルとして、最も標準的で、好印象を与えやすい長さです。地肌がほんのりと見える程度で、清潔感と爽やかさが際立ちます。「迷ったら、まず6mm」と言える、王道の選択です。
・3mmのアタッチメント(お洒落で、シャープな印象)
地肌がはっきりと見え、刈り上げ部分の色の濃淡が楽しめる、お洒落な長さです。サイドをこの長さにし、トップとの長短をつけることで、メリハリのあるスタイリッシュな印象になります。
・アタッチメントなし(0.5mm前後から)(プロの領域)
アタッチメントをつけずに、バリカン本体の刃だけで刈り上げる、いわゆるスキンフェードの領域です。極めて高度な技術が要求されるため、セルフカットではまず不可能と言える、プロフェッショナルの技術です。
セルフカットで失敗しないための、最低限のコツ
もし、ご自身でカットに挑戦される場合は、必ず「長めのアタッチメント」から試すようにしてください。例えば、本当は6mmにしたい場合でも、まずは9mmのアタッチメントで全体を刈ってみる。そして、鏡で確認しながら、少しずつ短くしていく。
「短くしすぎる」失敗は取り返しがつきませんが、「長すぎた」場合は、いつでも修正が可能です。
なぜ、プロの仕上がりは、セルフカットと全く違うのか
さて、ここからが本題です。
同じアタッチメントを使っているはずなのに、なぜプロの仕上がりは、セルフカットとは比較にならないほど、美しく、そして格好良く見えるのでしょうか。
理由1:私たちは、一つのアタッチメントだけでは終わらない
プロの仕事は、複数のアタッチメントを巧みに使い分けることから始まります。例えば、サイドを刈り上げる際も、下半分は3mm、上半分は6mm、そしてトップへと繋がる部分は9mm、といったように、ミリ単位で長さを変え、滑らかなグラデーションを創り上げていきます。この手間を惜しまない緻密な作業が、立体感を生むのです。
理由2:私たちは、アタッチメント以外の道具も使う
バリカンとアタッチメントだけで完成する髪型は、一つもありません。トップの髪の質感や動きは、ハサミでなければ創り出せません。毛量を調整するためのセニングシザー(すきバサミ)も不可欠です。そして、襟足や生え際の、息を呑むほどシャープなラインは、カミソリでなければ、決して生み出せないのです。
理由3:私たちは、あなたという人間を見ている
最も大きな違いは、私たちが見ているのが、アタッチメントの数字ではなく、お客様一人ひとりの「骨格」であり、「髪質」であり、「個性」である、という点です。あなたの頭の形を、最も美しく見せるための設計図を描き、その設計図を実現するために、最適な道具として、アタッチメントを選択しているに過ぎません。
アタッチメントは「道具」であり、「答え」ではない
素晴らしい料理が、最高の包丁だけで生まれるわけではないのと同じように。
素晴らしいヘアスタイルも、優れたアタッチメントだけで生まれるわけではありません。
大切なのは、その道具を、誰が、どのような知識と、どのような想いを持って、使うのか、ということです。
最高の道具と、最高の使い手による、あなたのための一時間
あなたはもう、アタッチメントの基本的な知識を手に入れました。
であるならば、その知識を、私たちプロに預けてみませんか。
「サイドは6mmくらいの爽やかな感じで、トップはハサミで動きを出したい」。
そんな風に、私たちに伝えていただくだけで、結構です。
最高の道具と、最高の技術、そして、あなたへの深い理解。
その全てを融合させ、あなたのためだけの、最高のスタイルを創り上げることを、お約束します。