「ブロー」と「ヘアセット」の違い、説明できますか?プロが教える、それぞれの役割と関係性
「ブロー」と「ヘアセット」。
毎朝、なんとなく行っているこの二つの工程について、その「違い」を正確に説明できる、と自信を持って言える方は、実は多くないかもしれません。
「ドライヤーで乾かすのがブローで、ワックスをつけるのがセットでしょ?」
もちろん、その理解は間違いではありません。しかし、その二つの工程が持つ、全く異なる「役割」と、切っても切れない「関係性」を深く理解すること。それこそが、あなたの毎朝のスタイリングを、素人レベルからプロレベルへと引き上げる、最も重要な鍵なのです。
この記事では、その決定的な違いについて、プロの視点から分かりやすく解説します。
結論:「ブロー」は設計図、「ヘアセット」は仕上げ
まず、結論からお伝えしましょう。
家づくりに例えるなら、「ブロー」は、家の骨格や間取りを決める**「設計・基礎工事」にあたります。そして、「ヘアセット」は、その骨格の上に、壁紙を貼ったり、家具を配置したりする「内装・仕上げ工事」**です。
頑丈で、美しい骨格がなければ、どんなに高価な家具を置いても、決して良い家にはなりません。ヘアスタイルも、これと全く同じなのです。
それぞれの役割を、詳しく見てみしよう
では、「ブロー」と「ヘアセット」が、それぞれ具体的にどのような役割を担っているのか、詳しく見ていきましょう。
・「ブロー」の役割:髪型の骨格(シルエット)を創る
髪が濡れている状態から乾く瞬間に、その日のヘアスタイルの「骨格」となる、基本的な形、毛流れ、そしてボリューム感を創り出す工程です。主な目的は以下の通りです。
- 髪全体のシルエットを決める
- 生え癖を直し、毛流れを整える
- トップのボリュームを出す、サイドの膨らみを抑える
- スタイリング剤がつきやすい、最適なコンディションに整える
・「ヘアセット」の役割:骨格に、質感と持続性を与える
ブローによって創られた骨格の上に、ワックスなどのスタイリング剤を使い、より細かいディテールを加えていく工程です。主な目的は以下の通りです。
- 毛束感や動きといった「質感」をプラスする
- ツヤを出したり、逆にマットにしたりと「光沢」をコントロールする
- ブローで創った形を、一日中キープするための「持続性」を与える
なぜ、この「違い」の理解が、これほど重要なのか
この「役割の違い」を理解していないと、私たちは、よくあるスタイリングの失敗に陥ってしまいます。
最も多い間違いは、ブローを疎かにしたまま、大量のワックスの力だけで、無理やり髪を立ち上げようとすることです。基礎工事ができていないのに、内装だけで家を支えようとするようなものですから、当然、髪はワックスの重みですぐに潰れてしまいます。
逆に、ブローの段階で髪の骨格を完璧に創り上げておけば、最後のヘアセットは、驚くほど少量のワックスで、そして、驚くほど短時間で、完璧に決まるのです。
プロの仕事における「ブロー」と「セット」の完璧な連携
私たちプロの理容師は、お客様の髪をカットしている瞬間から、その後のブローと、最終的なヘアセットのことまでを、全て計算しています。
このお客様の髪質なら、ブローで根元をこう立ち上げておけば、少量のグリースで美しいツヤが出るだろう。
この骨格のお客様には、ブローでサイドをしっかりと抑え、トップに高さを出すことで、ワックスをつけた時に、最もバランスの良い菱形シルエットが生まれるだろう。
カット、ブロー、ヘアセット。この三つは、私たちの中では、常に一つの流れとして、完璧に連携しているのです。
「違い」が分かれば、あなたの朝が変わる
「ブロー」と「ヘアセット」の違い。
その本質的な役割を理解するだけで、あなたの毎朝のヘアセットは、より簡単に、より楽しく、そして、よりプロフェッショナルな仕上がりに変わるはずです。
そして、もしあなたが、その完璧な連携の神髄を、一度体験してみたいと願うなら。
ぜひ、私たちのサロンへお越しください。
最高の「設計図」を描き、最高の「仕上げ」を施す。
その一連の流れを、あなたのためだけに、心を込めてご提供します。